ZIGZAG World Trip
メタボンってどんな人なの?
ハハボン
出勤にはいつもメタボンの後をハハボンが付いてくる。
そもそもは歩かせなきゃいけないという理由から、
毎朝見送ってくれるように習慣化した。
最初はなんか恥ずかしかったんだけど、
足腰が弱くなることを少しでも避けたかった。
数年前は毎朝、最寄りの駅まで見送りにきていた。
しかし、冬を越えるごとに距離が短くなった。
今では手を繋がないと歩行に不安になるハハボンだが、
手を握るだけで足元に力がみなぎってくるから不思議。
ぐいぐい付いてくる(笑)
毎朝、自宅横の細い路地を抜けて会社へ向かう。
所定の位置までくると電柱に体重を預けて笑顔を向けてくる。
メタボンが路地に消えていくまでずーっと見守っている。
でね、気付かれない程度に小さく手を振ってくれている。
しってるよ。
いつからか姿を消す迄に3回振り返ることに決めてる。
ハハボンの喜ぶ姿が地味に嬉しいからだ。
今日、初めてハハボンを逆に見送ってみた。
そう、消えたふりして戻ったのだ。
路地に消えてくハハボンの後ろ姿。
大丈夫かな、転ぶなよ。
見送る側になってみると、少し寂しいことを知った。
毎日、この気持ちで見送ってたのかな。
今まで、ありがとう。
ハハボンっていうのは、母親のこと。
今年の3月でめでたく、80歳を迎える。
歩行困難・認知に不安がある。
意気地のないメタボンは世界一周を母に言い出せないでいた。
>>前回からの続き
なかなか切り出せないメタボンに痺れをきらした見えない力が作用した。
そう、その時は突然向こうからやってきたのだ。
母親の前を横切るときに、唐突に「どこへもいかないでね」と口にした。
振り返り母を見ると、少し不安と目じりに薄っすらと涙がたまっていた。
メタボンの日頃の行動から何か感づいたのかもしれない。
今考えると、バイクが変わり、パニアケースが増えて、
部屋には「32か国指差し会話帳」がある。
又、保険会社には、万が一海外で病気にかかっても、
保険料が支払われるか横耳で聞こえていたのかな。
そんな状況をつなぎ合わせて、感じ取ったのかもしれない。
とっさに今言うタイミングだと気づき、母の前でひざまずいた。
かあちゃん、不安にさせてゴメンよ。
俺もね、実は不安でいっぱいだった。
打ち明けることで、傷つけちゃうんじゃないか。
以前みたい心の不安定が再発するんじゃないか。
湧いてくる不安に逆らうことが出来なかった。
足腰が弱くて手を繋がないと満足に歩けない母。
更に少し認知に問題が出始めている。
そんな状況がメタボンを固く縛り付けていた。
深夜に目が覚めて寝れなくなるメタボン。
出発を控え、以前より頻繁に起こるようになってた。
そんな状態で世界一周行く気なのと非難されそう・・・。
どこか、悪いことするような気持ちになるから厄介なんだよな。
でもね、母親から頂いた命を輝かせるのも使命だし。
俺も夢叶えて幸せになりたいしね。
だから誠心誠意、精一杯伝えたよ。
何故、行くのか意味をね。
母ちゃん、愛してるよ。
そしてありがとう。
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